E-1「条約貿易」とE-2「条約投資」ビザ制度の概要

Photo: Cytonn Photography at unsplash.com多額の投資をせずに米国で進出したい投資家・ビジネスマネジャーには、「E-1」と「E-2」のビザが人気です。このポストで、いわゆる「条約ビザ」の概要を説明します。

当事務所は日本語で米国の企業設立・ビザ業務を提供しております。お気軽にご連絡ください。

E-1「条約貿易」ビザ

主な条件は以下のとおりです。

  • 国籍=米国と貿易条約を締結している国(日本、韓国、台湾等)の国籍を持つこと。(以下、「本国」といいます。)
  • 貿易=商品、役務等の貿易に従事されること。
  • 本国との貿易=従事される国際貿易の半分以上が米国・本国間であること。
  • 雇用主の国=本国の国籍を持つ人が支配する雇用主に雇用されること。グループ内転勤は可能だが、米国内で関係のない雇用主による雇用は禁じられます。
  • 職務の内容=職務が以下のいずれであること:
    • 経営的・監督的な職務、または
    • ビジネスの効率的な運営に不可欠なスキルを持つこと。

E-1ビザの期間は原則2年間で、対象の職務が続いている限り、何度でも2年間ごとに延長できます。(入国時に承認される在留期間がより短い期間となる場合もありますので注意が必要です。)

また、申請者の配偶者・子供もE-1ビザを申請することができ、配偶者は雇用許可を申請することもできます。

E-2「条約投資」ビザ

主な条件は以下のとおりです。

  • 国籍=米国と貿易条約を締結している国(日本、韓国、台湾等)の国籍を持つこと。(以下、「本国」といいます。)
  • 投資=米国内の事業に相当な資本金を投資している、またはその準備をしていること。金額は対象事業の資本ニーズに比べて評価されるため、最小の金額は場合によって決まります。
  • 支配権=対象事業の半分以上の株式・資本持分または運営上の支配権(社長の仕事等)を持つことによって、米国への入国目的が対象事業の開拓・経営であることを証明すること。

投資家のみではなく、投資家の従業員も以下の場合にE-2ビザを申請することができます。

  • 雇用主の国=本国の国籍を持つ人が支配する雇用主に雇用されること。
  • 従業員性=適用される法律に基づいて、投資家の従業員であること。
  • 職務の内容=職務が以下のいずれであること:
    • 経営的・監督的な職務、または
    • ビジネスの効率的な運営に不可欠なスキルを持つこと。

E-2ビザの期間は原則2年間で、対象の職務が続いている限り、何度でも2年間ごとに延長できます。(入国時に承認される在留期間がより短い期間となる場合もありますので注意が必要です。)

また、申請者の配偶者・子供もE-2ビザを申請することができ、配偶者は雇用許可を申請することもできます。

L-1「企業内転勤」ビザとの違い

Eビザの条件に該当しない場合でもL-1「企業内転勤」ビザの条件に該当する場合があります。

L-1の主なメリット

  • 国籍は条約国に限られません。
  • 米国内の投資・米国との貿易に関する条件がないため、対象となる事業目的がより広くなります。
  • グリーンカード(永住権)への切り替えがより簡単です。(Eビザをグリーンカードに切り替える場合、Eビザで入国した際に「移民の意図」がなかったことを証明する必要があります。)

L-1の主なデメリット

  • 申請する前に、雇用主の米国外拠点で一年間以上働く必要があります。
  • 米国内で在留資格の変更を申請することができず、一度出国して外国でビザを申請する必要があります。
  • 申請する際に米国拠点の内容(従業員数、事務所の広さ等)がより厳しく審査されます。
  • 在留期間は5年間または7年間の上限があり、その後延長できません。

EB-5「移民投資家」ビザとの違い

米国で多額の投資を行う場合、EB-5「移民投資家」ビザが選択になります。このビザは条約国に限られません。また、入国の際にグリーンカード(永住権)が付与されるため、滞在期間は無限で、将来にアメリカの市民権も取得できます。

2019年11月から、EB-5ビザの対象投資はいわゆる「高度雇用エリア」(大都市圏等)では180万ドル、「雇用目的エリア」(不況のある地域)では90万ドルであり、対象投資によって10人以上のフルタイム従業員を雇用する必要もあるため、より小規模の投資であればEB-5ビザを取得することができません。