米国の有限責任会社(LLC)の特徴

一番シンプルでありながら、同時に最もわかりにくい米国での法人形態が有限責任会社(LLC)です。このタイプの法人形態は非常に用途が広く便利ですが、正しく立ち上げ、管理するには法的な専門知識が必要です。

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責任者は誰?

通常、米国の株式会社(Corporation)には特定のガバナンス構造が必要です。これは株主によって任命された取締役会及びこの取締役会によって任命された役員(Officer)を含みます。

有限責任会社の場合は、所有者が直接会社を管理(直接経営型)するか、所有者によって任命された1人または1人以上の個人が管理(間接経営型)する事ができます。会社の代表権については、直接経営型の場合は、社員が会社を代表することができ、その権限を任命した役員に委任することもできます。したがって、有限責任会社には株式会社には存在しない組織の柔軟性があります。

株式会社としての課税?それとも組合としての課税?

米国税務上、原則として、単一の社員を持つ有限責任会社は別個の法人として無視され、複数の所有者を持つ有限株式会社は組合として取り扱われます。但し、社員の数に関わらず、株式会社としての課税(いわゆる「C corporation」資格)を選択することができ、少数の米国内居住の社員しかいない場合には、非課税法人としての課税(いわゆる「S corporation」資格)を選択することができます。最適な選択はケースバイケースで違ってきますが、これにより非常に大きな柔軟性が得られます。

国際的背景においては、米国の税務上の選択は必ずしも他の国では適用されないことを理解することが重要です。例えば、日本の税務上、有限責任会社は課税対象企業として扱われます。これは企業法人がどこでどの様に事業を行うかによって利益にも問題にもなり得ます。この様な理由から、事業構造を選択する前に、税務の専門家に相談することをお勧めします。

有限責任会社である事で不利益を被るのはどんな時?

有限責任会社は組織と税の柔軟性が非常に高いのが魅力的ですが、所有者の少なく、株式の利害関係が頻繁に変わる予定の無い企業に優れています。例えば、将来的に株式公開(IPO)を目的としていたり、ベンチャーキャピタルからの出資を目的とする企業にとっては望ましい法人形態ではありません。

将来的に多くの投資家を抱える可能性のある企業にとっては株式会社がベストな法人形態といえるでしょう。有限責任会社を株式会社として再編成する事は可能ですが、将来的に多くの投資家を抱える事になる可能性の高い企業にとっては、一般的に株式会社として始めるのが最善です。