米国ベンチャー支援企業の基本文書

Photo: Alex Kotliarskyi at unsplash.com米国の株式会社、特にシリコンバレー型のベンチャーキャピタル投資に後押しされた企業は、通常、企業と投資家の間の権利と義務を管理する一連の企業文書と契約を持っています。全てのベンチャーキャピタル企業がこのひな型を使うわけではなく、企業ごとに相違がありますが、最も多くの企業に使われるのが全米ベンチャーキャピタル協会 (NVCA)で提供されている文書のひな型です。

著者は米国のスタートアップ企業や投資家の為の契約書作成や交渉についての豊富な知識や経験を持っています。ご不明点・ご質問等がございましたら、ご遠慮なく当事務所にご連絡ください

設立証明書(Certificate of Incorporation)

設立証明書は、企業が組織されている州(ほとんどのベンチャー支援企業の場合、デラウェア州)の州務長官(Secretary of State)にて登記される文書です。企業の名前、登録住所、目的等の基本事項を定義します。最も重要な基本事項として、ベンチャー支援企業では、設立証明書は通常、議決権、配当権、転換および償還トリガーなど、株式の各クラスに関連する権利を含むという事です。

デラウェア州では設立証明書は公的に記録され、少額の料金を支払うことで、デラウェア州法人の設立証明書を誰でもダウンロードできます。

議決権行使契約書(Voting Agreement)

議決権行使契約は、株主による取締役選任に関する契約です。議決権行使契約は通常、各クラスの株主に特定の取締役指名権を付与し、各株主が指名された取締役を選出するために株式を投票することを義務付けます。

一部の議決権行使契約では、Drag Along Right(ドラッグ・アロング・ライト)も規定されます。これにより、株主の一定の過半数が、他の当事者に株式の売却を強制することができます。

先買権および共同売却権に関する契約書(Right of First Refusal and Co-Sale Agreement)

これは、企業とその投資家が、主要株主が売却を希望する株式を購入する権利を定めます。「共同売却権」(Co-Sale Agreement)は、最初の拒否の権利が行使されない場合、他の投資家が販売に参加する事ができる権利の事です。

これらの契約には通常、新規株式上場の前後に主要株主による株式の販売を防ぐ「ロックアップ」条項も含まれます。

投資家の権利に関する契約書(Investor Rights Agreement)

この契約は、大きく分けて3種類の投資家権利を定めます。

1つめは登録請求権(Registration Rights)といい、株式が公共的に譲渡可能になる様にする為に、投資家が米国証券取引委員会(S E C)への株式の登録を要求する権利の事です。

2つめは情報受領権(Information Rights)といい、会社の財務情報にアクセスする権利、場合によっては取締役会に参加する権利の事です。

3つめは優先引受権(Preemptive Rights)といい、主要株主として企業による新しい証券を優先的に買う権利のことです。

投資家の権利に関する契約は、投資を保護する手段として、企業経営に制限を課したり、主要株主に特定の拒否権を付与する場合もあります。

株式売買契約書(Stock Purchase Agreement)

株式売買契約書は株主になるためのプロセスを規定し、通常、Disclosure Scheduleという別紙において企業とそのビジネスに関する重要な情報が明記されています。