国外滞在中でもグリーンカードを維持する方法

米国外に住んでいる間も、米国での永住権(グリーンカード)を維持する事は可能ですが、ケースによってはこれが難しくなる場合もあります。グリーンカードの維持方法についてよくある質問を下記にまとめてみました。米国移民法についてご不明点・ご質問等がございましたら、ご遠慮なく当事務所にご連絡ください

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米国外に住んでいても、グリーンカードを維持する事は可能ですか?

可能です。但し、米国を離れたのは「一時的」であり、再度米国に帰ってくる意図がある場合にのみ可能です。この様な場合は、米国での銀行口座の維持、米国運転免許証の維持、米国での税金申請、米国での家の所持(家を第三者に貸し出す事も含む)など、米国との関係を維持しようという態度を見せる事が重要です。その様な努力をした上で、なぜ米国外にいるのか、そしていつ米国に戻るつもりなのかなどつじつまの合う様な言い訳を準備しておく事も必要です。この方法でグリーンカードを維持する人はたくさんいます。

他には、特定のアメリカ企業の海外駐在者、及び駐在者の配偶者と子供に認められる特例があります。海外での勤務を開始する前に、米国に少なくとも1年間連続で在住していたという記録が無くてはならないという条件のもとではありますが、この特例が認められた海外駐在者はN-470という書類を米国移民局に提出することでグリーンカードの維持が認められます。

米国外に住んでいる間に、グリーンカードを維持することで不利益を被る事はありますか?

グリーンカードを保持している限りは、個人は米国市民として、海外で得た収入であっても米国政府から税が課されます。つまり、海外にいても、毎年米国政府への税金申告をしなければならないという事になります。(個人の配偶者が米国市民の場合は、夫婦で合算所得税申告をする事も可能です。)税率の低い地域に住んでいるか、税制優遇の対象となる所得を得ていない限りは、通常、外国税額控除や海外役務所得控除などの免除により実際に税が課される事は滅多に無く、あったとしても極めて少額です。

再入国許可の手続きをするべきですか?

米国外に一年以上継続的に滞在する予定がある場合は、再入国許可証が必ず必要になります。尚、一年以下の滞在を予定している場合であっても、再入国許可証を持っておいた方が安心でしょう。

再入国許可証の有効期限は2年間で、継続して保持したい場合は2年ごとに更新しなくてはならず、さらに請願・更新する際には請願者が米国内にいる事が求められます。もし、やむを得ない事情で米国外滞在中に再入国許可証の有効期限が切れてしまった場合はSB-1 (帰国居住者用)ビザを取得しないとグリーンカードの回復をする事ができません。SB-1ビザを取得すれば、I-130というプロセスを通らずには済みますが、グリーンカード回復の為に再度ビザ申請、健康診断、面接等をやり直さなければいけません。

例え再入国許可証を手に入れる事ができたとしても、米国当局が、個人が国外に滞在しているのは「一時的」でありいずれかは米国に帰国する意図があると確認できない場合はグリーンカードを失う可能性が高くなります。再入国許可証は基本的に、1年以上米国を離れた場合にグリーンカードが自動的にキャンセルされたり、入国管理者に尋問される可能性を低くする為だけのものであり、個人への米国における居住要件(国外に滞在するのは一時的であり、いずれかは帰国する意図が認められないとならない等)が無くなる訳ではありません。

なお、米国政府職員とその親族については特例があり、政府の命令に基づいて海外赴任となった場合、帰国の際に再入国許可が原則として不要です。

グリーンカードを破棄・辞退する事で不利益を被る事はありますか?後に米国に戻る時に問題になるのでしょうか?

ESTA又はビザを使って米国に入国する際には問題になる事は無いでしょう。

しかし、グリーンカードを破棄する場合、又米国への/からの旅行歴に関する質問に答える場合は、米国当局にあなたが違法に入国したと思わせない様に話のつじつまを合わせる事(国外に滞在していたのは一時的であり、いずれかは帰国する意図があったと思わせる事)重要です。

最大の問題としては、破棄後に再度グリーンカードの取得をしようと思った時には多くの費用と時間がかかる可能性がある事です。

前回米国を訪問した時に、アメリカ合衆国税関・国境警備局職員に「海外にいた時間が長すぎる為、再入国許可証を取得する必要がある」と警告されたのですが、これは問題ですか?

おそらく、これを言われた際に、国境警備員があなたのパスポートに居住条件について警告を受けたという履歴を書き留めた可能性が高いです。この場合、あなたが次に米国に入国する時にさらに質問を受ける可能性が高くなり、当局職員が説明を気に入らなかった場合は強制送還の手続きが行われる事もあります。強制送還を受けた場合は、例え短期間の滞在であってもESTAへの参加資格を永遠に失い、将来ビザを取得する事も難しくなります。つまり、グリーンカードを維持するかどうか、又法的に維持する方法は専門家(移民弁護士等)に相談して慎重に検討する事が重要です。

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著者:ダニエル・ジョセフ(ジョー)ジョーンズ
ワシントンD.C.とニューヨークに拠点を持つジョーンズ法律事務所の代表弁護士。米国移民法、国際親族案件、国際ビジネス案件を中心に活動しています。日本の大手企業や国際法律事務所で国際法務に従事した経験があり、日本語も堪能。お気軽にご相談ください