離婚とグリーンカード

結婚により米国の永住権を取得した方は、離婚手続きを始める前に特別な考慮を与えられる事があります。この記事では、その様な特別な考慮が与えられる条件について詳しく説明します。

当事務所ではメリーランド州、バージニア州、コロンビア特別区、ニューヨーク州においての家族法の相談を受け付けております。ご相談の予約はこちらのフォームから行って頂けます。   

グリーンカード申請中の離婚

結婚による移民としてのビザ申請や在留資格の変更(adjustment of status)をした後に、ビザやグリーンカードが発行される前に離婚した場合は、申請が取り消されてしまいます。移民としてのビザ申請や在留資格の変更が結婚によるものでない場合(雇用等によるグリーンカード申請)は、申請は取り消される事はなく、離婚によるビザ、グリーンカードへの影響はありません。

条件付きグリーンカード上の離婚

米国市民又はグリーンカード保持者との結婚によりグリーンカードを取得した場合は、2年間の条件付きの永住権が配偶者に与えられます。この場合、条件を取り除くには、配偶者は条件付きのグリーンカードが失効する90日以前にI-751という書類を提出しないといけません。

一般的に、I-751(永住権条件解除申請)は結婚がまだ有効である間に両配偶者が共同で提出する必要がありますが、離婚申請中及び離婚が確定した後であれば、結婚が誠実な理由で行われたという条件の元に、グリーンカード保持者である配偶者の名義のみでこの書類を提出する事も可能です。後者の手続きをするには、賃貸契約書、住宅ローン関連の書類、共同財務記録、第三者からの宣誓供述書などの裏付け文書が必要になります。離婚の申請中にI-751が提出された場合、条件を解除するには、米国移民局に離婚の最終的な判決の通知が届いている必要があります。

条件無しのグリーンカード上の離婚

条件無しの10年間有効な永住権を保持している方は、離婚をしてもそれがグリーンカードに影響を及ぼす事はほぼありません。ただし、後で米国市民として帰化を申請する場合は、結婚の誠実性を精査される可能性がありますので、注意が必要です。

スポンサーの義務

家族ベースのグリーンカードをスポンサーとして後援した方は必ず、米国移民局(USCIS)にForm I-864において扶養宣誓供述書を提出する義務があります。これは、スポンサーと米国連邦政府間との拘束力のある契約であり、スポンサーはグリーンカード申請者に最低でも政府の貧困ガイドラインの125%相当の金銭的サポートを継続的に維持する必要があります。

これは、公的支援に依存する可能性のある移民の入国を防ぐために、1996年に行われた福祉改革の一環として実施されました。そのため、スポンサーにはグリーンカード申請者の金銭的支援という重い責任を課されてしまうのです。詳しくは、「米国永住権スポンサーの扶養宣誓供述書(Form I-864)における義務」をご覧ください。

関連記事


著者:ダニエル・ジョセフ(ジョー)ジョーンズ
ワシントンD.C.とニューヨークに拠点を持つジョーンズ法律事務所の代表弁護士。米国移民法、国際親族案件、国際ビジネス案件を中心に活動しています。日本の大手企業や国際法律事務所で国際法務に従事した経験があり、日本語も堪能。お気軽にご相談ください